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2012年12月20日木曜日

vol.5 川崎昌平さん×谷口真人さんスペシャルトーク&先端大忘年会開催スペシャル

いつもより遅い17時スタートとなった今回の午後ラジ



この日の午後ラジは、午後ラジ史上初のダブルゲストによる大変ゴージャスな回となりました。黎明期の先端芸術表現科を良く知る歴史の貴重な証言者にして大の仲良し、川崎昌平さんと谷口真人さんの登場です!ようこそ先輩!
谷口さんと川崎さん


まずは一番手、トップバッター川崎昌平さんによるマシンガントークが炸裂します!川崎さんの活動は大変多岐に渡っていて、ざっと挙げるだけでもライター、キュレーター、そして小説家と、その活動範囲のレンジの広さには軽い目眩をおぼえます。誰しもの脳裏に「何者なんだ、この人」と言ったフレーズをかすめさせずにはおかない特殊な経歴をお持ちの川崎さんの現在の肩書きは、編集者。大学を卒業してから現在までの、ご自身のキャリアアップについてのどこまでも具体的且つ実践的なお話が、次から次に繰り出されます!ご自身のあらゆる経験から導き出した、人格類型別のキャリアの積み立てメソッドについて、私達のような、明日さえ見えずに苦悩と煩悶と田園風景に満ち満ちた、魅惑の取手キャンパスライフをエンジョイ中の学生達に向け、徹底的にレクチャーして下さる川崎さん。飛び出す言葉の情報量に、我々も多少頭がパンク気味になりながら、「堅実ながんばりを正しく発揮したらばきっとなんとかなるのかも!」と確実に勇気と希望と前のめりな勢いを貰えるあっというまの45分、超高密度の「川崎式人生スーパーサバイブテク講座」、圧巻でした。無理ゲー(攻略が極めて困難とされるゲームの俗称)の1ジャンルとされていた「わが人生」に、一条の光が差しました・・・。

続いては、アーティストの谷口真人さんです!これまた先端の大先輩による学生時代のレア度高めの貴重なお話が贅沢にこぼれ落ち、さらには川崎さんとの友情に関連しての、我々一同思わずほくほく顔をキメずにはいられない「いい話」も盛んに飛び出します!修了展からaatm(全国の美大の卒展から名のある審査員がピックアップした学生作品を集めた展示)出展までのシンデレラストーリーや、そもそも現在の作風が、いったいどのように確立されたかについてのお話が、「事前審査展」「最終審査会」といった、今の私達にとって胃が痛くなるほどタイムリーなフレーズと共に語られます。本気で卒業後の活動を考えた時に「このままではいけない」と激烈に思ったところから、社会の中でどのようにすれば制作を続けられるかを考えるようになり、美術家に行き着いたという谷口さん。修了後、制作に勤しみつつ、アートフェアに出品したりしながら過ごした当時の生活は、決して楽しい事だけではなく、大変な思いもたくさんされてきたそうです。やはりアーティストの道はイバラの道であり、甘えた幻想の中でふわふわ無自覚に生きていて全然良かった時代はとっくの昔に過ぎ去ったんだなと、前提の前提の大前提について改めて深く認識させられた次第です。

乾杯の音頭

おでん
そしてここでひとまずゲストトークは一旦終了。ここからはお待ちかね、午後ラジ主催の先端大忘年会のスタートです!今までにも事前審査会のクロージング餃子パンダチャイナドレスパーティを主催してきた午後ラジですが、今回我々が繰り出したとっておきのメニューはこちら、冬の味覚「おでん」です。寒いぞ寒すぎるぞと評判の取手キャンパス。刺激に満ちあふれたトークの後は、ゆっくりおでんで温まり、一年の労をねぎらおうというこの企画。「おでんくん」のアニメをスクリーンに上映しながら、みんなでおでんをつっつく最中、突如お目見えした隠しメニューがこちら、そう、「まぐろのかぶと焼き」!先端科の助手の田中一平さんが調理法を徹底的にリサーチし、万全の準備のもと丁寧に焼き上げてくれたスペシャルメニュー「かぶと焼き」。焼き上げに使用したのは我々にはおなじみの田中さん自作の一平プレート。鉄を自在に操る事から一部で鉄平の愛称で親しまれる一平さんの渾身の「かぶと焼き」、絶品でした。
まぐろのかぶと焼き
とにかくたくさんの笑いとほっぺがこぼれまくったこの日のイベント、午後ラジVol.5は大盛況のうちに終了しました。
助手の田中さん手書きのかぶと焼きレシピ
取手を舞台にした午後ラジは、ここで一区切りを迎え、いよいよ1月の本展では、午後ラジ「卒展の特別編」が開催されます!
追って新着情報掲載予定!乞うご期待!





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酒をしみ込ませて塩を塗り込んでいる
なんでも作れる鉄平さんこと田中一平さん
文責:足立靖明

2012年12月11日火曜日

vol.4 O JUNさん:ポートフォリオレビュー大会

この日も大盛況「午後ラジVOL.4」
先端生のあいだでは「午後ラジ」の愛称も定着してすっかりおなじみとなった、第4回「午後はラウンジで会いましょう」のゲストは、油画科准教授O JUN先生でした!
O JUN先生は実は、今の学部4年生が1年生のとき油画科1年生と一緒に企画・運営した展覧会「取手アートパス2009」の担当教員で、そのときに大変お世話になった先生です。そんな先生に卒業前にもう一度お話を伺う機会がほしい!との声がたくさんあがったため、今回午後ラジでの学生ポートフォリオレビューとトークをお願いしました。
まず前半はポートフォリオレビューです。ポートフォリオレビューとは、作品そのものではなくこれまでの作品記録を集めたファイルを見ながら質疑応答を交えて講評していただくやり方です。
今回は先端学部4年生の大谷透くん、片山慈子さん、修士2年生の三野新くん、橋本匠くんの計4人が、自身のポートフォリオファイルや作品の写真をスライドで見せたりしながら、O JUN先生と参加者のみなさんに自分の活動をプレゼンしました。
プレゼン中の片山さん
大谷くんは絵画をインスタレーションとして見せる作品、片山さんは立体作品、三野くんは演劇と写真についての考察に基づく作品、橋本くんは映像と組み合わせたパフォーマンス作品と、それぞれ全く違うタイプの作品を制作している4人のプレゼン。O JUN先生は一人一人の話に興味深そうに耳を傾け、ときおり質問を投げかけたり的確な指摘をしたりされていました。

こちらは大谷くん
橋本さんは映像を流しながらのプレゼンテーション
学生の私たちにとっては、他の学生が普段考えている事やこれまでの活動についてのプレゼンテーションを聞くだけでも勉強になります。しかしそれに加えて今回O JUN先生がそれぞれの登壇者に提案してくださった作品の改善点の見つけ方や視点の置き方などは、日々良い作品をつくるために試行錯誤している私たち全員にとって、とても有意義なアドバイスだったと思います。
O JUNさんのトークスタート!
ポートフォリオレビューのあとの1時間は、O JUN先生の作品をスライドで観覧しながら先生の作品制作についてお聞きしました。作品に使うモチーフの選び方や、絵を描き始めるきっかけ、絵の終わり方など、国内外で活躍中のO JUN先生の、作品の裏側をのぞく気分になるような興味深いお話をたくさんしてくださいました。
現在の先生の作品制作に多大なインスピレーションと影響を与えているという映画『ゴジラ』のワンシーンや、1年に数回しか行わない危険な(!?)パフォーマンスなど、絵画作品以外の制作にまつわる面白いお話もお聞きする事ができました。
O JUN先生のお話は、上野での卒展会場で販売予定の先端卒修展カタログに収録されます。是非チェックしてみてください!

O JUN先生のゆったりと、しかし熱のこもったトークに、会場は立ち見がでるほどの大盛況で終了。
そして「僕も2009年に准教授に就任したから、あのころ君たちと同じ1年生だったんだ。4年間一緒に成長してきたという感じがしてとても嬉しい。上野での卒展もとても楽しみに、応援しています。」という先生の最後のコメントに、連日の制作の疲れも吹き飛んだ4年生一同でした。


文責:田村かのこ

2012年11月30日金曜日

Vol.3 小林耕平さん、アートパスに来たる

午後ラジ第三回のゲストは、アーティストの小林耕平さんでした!

この日は、先端の1年生と絵画科油画専攻の1年生との共同企画として、毎年開催されている大規学内展「取手アートパス2012」 の開催初日でした。アートパスの期間中、芸大取手校地には無数の学生作品が所狭しと並びます。このアートパスにはほぼ毎年足を運んでいるという小林さん。大賑わいのメディア棟4階ラウンジにて、この日の午後ラジもまったりとスタートしました。

ちょうど時を同じくして、山本現代にて個展「あなたの口は掃除機であり、ノズルを手で持つことで並べ替え、電源に接続し、吸い込むことで語る。」を開催中の小林さん。新作のコンセプトや、作品制作に於ける思考のプロセスなどについて、興味深いお話をたくさん聞かせて頂きました。

トーク中、小林さんの実際のパフォーマンス映像が流れると、ラウンジは一気に笑いと戸惑いと驚きの入り交じった、なんとも言えない不思議な空気に包まれます。集まった学生の誰もが小林さんの作品に強く惹かれ、その実直なお人柄から繰り出される真摯で誠実なプレゼンに聞き入っておりました。

自分の作品についてを特定の人にレクチャーするというパフォーマンスのレクチャーを受ける私達。贅沢なトークの内容は、小林さんの最新作のお話から、卒業制作にまで遡り、多岐に渡って大きく盛り上がりました。

言語、身体、映像といった、複数のメディアを自在に横断しながら作品を展開されている小林さん。自分が扱う表現メディアのそれぞれついて、どのような意識で向き合っているのかについてのお話は、私達先端芸術表現科の学生にとって、大変重要なお話でした。

このトークの詳細については、卒展会場で販売予定の卒展カタログの3冊目に収録されます。興味のある方は是非お買い求め下さい!

文責:足立靖明

2012年11月9日金曜日

Vol.2 守谷ARCUSのレジデンスアーティストとの交流


この日は、守谷にあるアーティストインレジデンス、「ARCUS」で活動するアーティストの方々が来てくださいました。
ARCUS でどのような活動を日頃しているのか、レクチャーをしていただき、学生たちは興味深そうに聞いていました。
ARCUS は、世界的に有名なレジデンス施設で、日本で活動したいと思っているアーティストにとっては登竜門のような存在とのことです。日頃、守谷のお隣の取手で制作している私たちですが、こんな近くにレジデンス施設があるなんて!!と驚きです。
オズギュル・デミルジさん、バスィール・マフムードさん、ユ・ウンジュさん


















韓国・トルコ・パキスタン、様々な国のアーティストの方々がARCUS
から来てくださいました。3人とも守谷という街に住みながら制作することをとても楽しんでいるように見えました。

ARCUSのレジデンス期間は3ヶ月と少ないですが、その中でも1人1人の制作スタイルや作品のお話からは様々な発見と困難が伺え日本での生活を楽しんでいる様に聞こえました。キュレーターの方のお話も交えながら進み、笑いも起きる場面もあり、とても盛り上がりました!

そして、ARCUS には海外のアーティストがレジデンスに在中の時日本人のアーティストも一緒に制作しているとのことで、今年は先端芸術表現科の卒業生である木村泰平さんが選ばれ、ARCUSメンバーとして参加するARCUSオープンオープンスタジオに向けてのお話をしてくださいました。先端の先輩が卒業後どのように活躍の場を広げているのか、具体的な話を聞けたのがとても楽しかったです。

活動紹介&レクチャー終了後、ARCUSメンバーの方には当日芸大取手校地で開催されていた先端芸術表現科学部4年生の展示(「事前審査展」)を観て頂きました。


















その後、「事前審査展クロージング餃子パーティー」を行いました。
会場となったラウンジではホストの学部4年生がチャイナ服をセクシーに着こなし、パンダと一緒にゲストをお向えしました。

パンダは上野のパンダをイメージしております。このパンダはまもなくオープン致します先端卒展2013公式HPで先端芸術表現学科と取手校舎の紹介をがっつり担当しておりますので是非そちらもチェックしてみてくだね!





















そしてクロージングパーティーでは各学生間で餃子やチヂミ、お酒を囲みながら皆で卒展に向け話が進みました~!卒展に向け、どのように皆が制作を進めているのかを確認できる展示となり、1月が楽しみになりました。皆さんも是非1月、上野の卒業制作展を観に来てくださいね!



文責:片山慈子、飯田有佳子

2012年11月1日木曜日

Vol.1 小沢剛さんについてもっと知ろうの会



記念すべき午後ラジ、第一回目のゲストは、2012年の10月から先端科の准教授に就任された、アーティストの小沢剛さんでした!

まだまだ小沢さんについては私達も知らない事ばかり。大学の大先輩でもある小沢さんに、ご自身の学生時代の話から、卒業後の活動や作品の展開のあり方について、思わず声を出して笑わずにはいられないこぼれ話をふんだんに織り交ぜながら語って頂きました。

小沢さんが学生だった80年代中期の日本。バブル絶頂のアゲアゲな高揚感にとんと馴染めなかった小沢さん。芸大の試験会場で隣の席だったという会田誠さんとの電撃的なファーストコンタクトや、大学入学後、アカデミックな絵画を描きながら演劇部で精力的に活動されていた頃のお話、そしてバックパッカーとして世界各地を旅して回られた頃のグローバルなお話など、小沢さんの温かいお人柄が垣間見える様々なエピソードが飛び出します。当時からのライフワーク的作品「地蔵建立」誕生秘話についてのお話もして頂けました。

自由な学生生活を謳歌していた小沢さんにとって、大きな転機となったのは、画廊を借りて行った、キャリア初の個展で味わった大いなる挫折感、だったのだそうです。来場者の少なさに「もっとこちらから社会に乗り出していかなきゃ駄目だ」と感じた小沢さん。
道行く人々に、作品の方向性の全てを委ねる「相談芸術」シリーズはここから生まれました。この「相談芸術」は一大プロジェクトに発展し、水戸芸術館を舞台に来場者のリクエストにとことん答え続ける異色の展覧会として大成功をおさめます。

村上隆さんや中村政人さんと共同で企画した「新宿少年アート」など、アート業界にセンセーショナルな話題を振りまき続けてきた小沢さんの活動。当時の貴重な写真と共に、爆笑エピソード満載で炸裂した幸せなスペシャルトークは、次第に核心的な方向へ。

美術は世界と繋がるルーツとしてあると考える小沢さん。美術業界の一部の人の傾向に合わせて作品を作ってきたつもりはないし、これからも作るつもりはないと力強く語ってくれました。20世紀の様々な作家がとってきたアートの手法を参照し、それを追体験し血肉化し、少しづつ方向を見定めてきたと言う小沢さん。そんな小沢さんに、先端の卒業制作展に期待される事を伺いました。

「卒展は長い人生のあるひとつのチェックポイント。それはゴールではない」
決してそこで目燃え尽きる事なく、その後の人生をも俯瞰しながら、ある種の余裕を持って制作に臨んで欲しい、そんな言葉を頂きました。

貴重なたくさんのお言葉、小沢さん、本当にありがとうございました!
この日のトークの内容については、卒展期間中の先端卒展ブースにて販売される、先端卒展カタログ2013の3冊目に収録されています。興味のある方は是非お買い求め下さい!

文責:足立靖明

2012年10月15日月曜日

より大きな世界の一部となるのだ

「午後はラウンジで会いましょう(通称:午後ラジ)」は、東京藝術大学先端芸術表現科/卒業修了制作展2013関連イベントとして、2012年11月から2013年1月の卒展開催までの期間中、複数回に分けて行われる先端主催の文化系トークイベントです。
我々先端芸術表現科の学び舎、芸大取手校地メディア教育棟4階ラウンジスペースにて行われるこのイベントでは、毎回多彩なゲストをお招きし、アーティストの学生時代のお話から、作品制作秘話に至るまで、身近な話題から突っ込んだ内容まで多岐に渡るエキサイティングなトークが縦横無尽に炸裂します。

この「午後ラジ」が裏テーマとして掲げるフレーズ、それは、「より大きな世界の一部となるのだ」です。
これは、映画「アイアンマン('08)」に於いて、主人公のアイアンマンことトニー・スタークを、国際平和維持組織シールドの長官ニック・フューリーが、スーパーヒーローチーム:アベンジャーズに勧誘する際に言い放つセリフです。
卒業/修了を目前に控え、これより先、作品と社会の関係、自分自身と広大な「世界」との関わりについて、嫌が応でもより深く思考し、また真摯に向き合っていかなくてはならない今の私達に呼応するフレーズとして、午後ラジはこの言葉を掲げます。

このブログでは、そんな午後ラジのバラエティ溢れるスペシャルトークの一端を、記事と写真でお伝えできればと思います。